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布を学ぶtextileStudy

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布をテーマに、糸や織、デザインの秘話などを伝える読みものコンテンツです。
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#カーテン

記憶と感情につながるテキスタイル 北欧を練りこみ暮らす、ユーザー宅へインタビュー

布を学ぶtextileStudy no.44 今回は、フジエテキスタイルの生地がどんなお家で使われているのか、ユーザーインタビューをしました。 取材に訪れたのは、海に臨み自然豊かな土地にある、Kさんご夫妻宅。純和風の住宅に北欧を練りこみながらリノベーションして生活されています。 囲炉裏の面影を残したリビングと、北欧を感じるタイルや椅子張りが目を引くキッチンスペースは、過ごす人の目線が揃うように高さレベルが調整されています。 自由さが認められる空間には、ご夫妻が選ばれた器

顔をうずめたくなるベルベット

布を学ぶtextileStudy no.34 上品なツヤのベルベットに浮かぶ、トラディショナルなヘリンボーン柄。 [カグラ]という名のテキスタイルは、シンプルな意匠ながら、豊かな質感と風合いが上質さを伝える一枚です。 ゴージャスでエレガントな印象をもつベルベットは、毛足の長さにともなう生地の立体感が美観を創出し、艶やかな光沢と色の深み、陰影などを演出できます。 インテリアテキスタイルにおいては、物性面の安定性やメンテンナンスの簡便さからポリエステル製のベルベットが多用さ

色を取り入れるには?外部環境との調和

布を学ぶtextileStudy no.31東京都内、多摩川のほど近くに立つマンションの一室。 小割にされていた住戸の壁がリノベーションによって取り払われ、南北に風が抜ける開放的な空間へと生まれ変わりました。 新しい部屋で“柔らかな壁”を演出するのは、フジエテキスタイルのコレクション。玄関土間と水回りスペースを仕切るレンガ色の[エマ]、広い開口には[キヌリー](現在廃番 代替品:ヤム)が使われています。 設計は「小坂森中建築」。戸建・集合住宅や、半公共的な施設を手がけてい

幻想的なモアレが空間をエレガントに

布を学ぶtextileStudy no.23大ぶりの花モチーフが生地全体を流れるように覆う優美なドレーパリー[フウガ]。 モチーフの花を描いたのは、グラフィックアーティストの牧かほりさん。 植物や人間にフォーカスし、グラフィック作品を中心に映像や空間演出など幅広い分野で、大胆で生命力に溢れる作品を発表されている注目のクリエイターです。 [フウガ]のモチーフは、ユリの女王ともいわれるカサブランカのもつ 上品さとダイナミックさをアレンジしたものとか。 光沢の強いゴールドの糸で織

自然の情景を室内に取り込む

布を学ぶtextileStudy no.20流れ落ちる水の風情はそのままに、凍りついた滝の静謐な美しさを表現した[フローズンホール]。 日本の感性から紡ぎ出された繊細なデザインを、イタリアの工場の技術で実現したテキスタイルには、織りや糸の豊かな表情がふんだんに散りばめられています。 凹凸感のある凝った織り組織に、生地裏で糸を断ち切るバックカットの技 法を大胆に取り入れています。 ランダムに透け感をもたせることで、滝の風情を表現。織り込んだ光沢糸の効果も相まって、流れ落ちる

吹き抜けの窓面に透過のグラデーションを。設計:堀部太氏 森山茜さんコラボレーションのテキスタイル

布を学ぶtextileStudy no.19 「プライバシーを確保した明るい空間」をコンセプトに建てられた、札幌にある個人邸のLDK。 吹き抜けの大きな窓は出窓のように跳ね出した形状で、窓に沿って設けた階段を上り下りする際に「外を感じる」造りになっています。 窓辺にかかるのはフジエテキスタイルの[モルン]。スウェーデン語で雲を意味する名前のついたテキスタイルです。 [モルン]はタテ3mのパネルデザインで、トップからボトムにかけて透け感がなくなっていく透過のグラデーションデ

一枚の布に多彩な糸使い

布を学ぶtextileStudy no.18シンプルモダンなヨコストライプのデザインのなかに、個性的な糸を多く織り込んだ贅沢な[カルタ]。 フジエテキスタイルのコレクションSTORY のなかでも、こだわりに満ちた上質感あふれるテキスタイルです。 白のボーダー部分は和紙のような風合いの不織布テープを揺らがせながら織り込んだクラフト感のある層。ライトグレーのボーダー部分は光沢のある糸と黒の混じった糸を織り込んで麻調のナチュラルな風合いに。 強い光沢を放つシルバーのボーダー部分

超収縮糸が叶えた立体プリーツ    テキスタイルの隠れた名作

布を学ぶtextileStudy no.17整然と繰り返されるプリーツの繊細な陰影と、凜とした表情が美しい[オウトツ]。 遠目に見ると無地調のストライプ柄のようにも見えますが、タテのラインに立体感がある、とても珍しいプリーツ状のテキスタイルです。 プリーツに立体感をだすのは難しい技術ですが、熱によって大幅に縮む特殊な「超収縮糸」と呼ばれる糸を使い、その性質を巧みにコントロールすることで、縮んだ部分が均一な凸状に盛り上がり、端正なプリーツになるようにつくられています。 最

艶のある糸で織り込んだ流麗な草花たち 山本祐布子さんのデザイン

布を学ぶtextileStudy no.16穏やかな色調のアンティークローズの生地いっぱいに、艶やかな糸で散りばめるように草花柄を織り込んだ[ユヌフォレ]。 フジエテキスタイルとイラストレーターの山本祐布子さんとのコラボレーションから生まれた一枚です。 やさしいタッチでこまやかに描かれた植物のモチーフは、山本さんが春先に房総の山を歩いた際に目にとまったモミの新芽やユキノシタ、ミツマタ、シダなどから得たインスピレーションをもとに描かれています。 写真はライトグレーのリボンを

金属的な布×スチールシェードの照明 個性が光る異素材の共鳴

布を学ぶtextileStudy no.15今回ご紹介する[オリゾン]という生地は、布でありながら金属的な、ステンレスメッシュのような素材感を目指して開発されました。 テキスタイルの新しい可能性を感じて頂ける生地です。 デザインはごくシンプルなヨコストライプ。輝きの強い糸を高密度に織り込み、シャープな印象を持たせています。 ベース部分にはタテ糸とヨコ糸の隙間を等間隔に空けながら織り上げるモックレノという技術を使い、拡大して見ると四角形の隙間が整然と並ぶ構造になっています。

植物の生命力がほとばしる 炭酸デザイン室のテキスタイル

布を学ぶtextileStudy no.14生命力あふれる多様な植物が、生地全面を覆い尽くすように細密に描かれた[ナティフ]。 勢いよく伸び広がる草花や木々の葉のモチーフは、どことなくあたたかみのあるユーモラスなタッチで描かれています。 デザインを手がけたのは2014 年に水野智章さん、井野若菜さんご夫妻によって設立された「炭酸デザイン室」。 滋賀の自然豊かな環境にアトリエを構え、「いつもの暮らしにシュワッとした刺激を」をテーマに、身近な自然や日々の暮らしから感じ取るものを

インテリアコーディネートの幅が広がる新鮮な色味

布を学ぶtextileStudy no.13[エディット]は、さまざまなコーディネートに取り入れることを想定してつくられた無地調のテキスタイルです。 フジエテキスタイルではこれまでも彩度の高いカラーも持つ定番の多色無地を展開していますが、[エディット]は従来の多色無地とはひと味違うブラックベリー、ブルーグリーンといった深みのある色、ラベンダー、ライトブルーなどの淡い色を含むグレード感のある全7色を展開しています。 いずれも、空気が澄み渡った早朝の静かな森の中をイメージした

唯一無二の輝きは、糸と織りの工夫から

布を学ぶtextileStudy no.12光沢のある生地は、上質感やラグジュアリー感を演出する効果があり、ホテルやサロンのような落ち着いた空間に好んで使われます。 一口に光沢といっても、生地によってその輝きはさまざま。 私たちフジエテキスタイルにも、多様な光沢生地がありますが、なかでも「ほかにはない輝き」というお声をいただいているのが[ツキマチ]です。 既存の商品のどの輝きとも異なる「これまでにない光沢感」を追求して生まれた無地の遮光ドレーパリー※。冴え冴えとした月光の

楽しく、自由に、しなやかに テキスタイルの可能性を広げる

布を学ぶtextileStudy no.10今回は、ファブリックデザイナーの佐藤未季さんが手がけた保育施設のテキスタイルを紹介します。 透け方、縫い方、かたち。様々な要素によって空間の可能性が広がります。 写真は横浜中華街の子ども園。子どもたちが帰ったあとはカルチャースクールとして大人が集う場にもなる施設です。 限られた空間にたくさんの備品を収められるよう収納棚が工夫されています。 最も天井に近い円状の棚の中には照明が取り付けてあり、丈の短いカーテンが目隠しとランプシェー