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植物の生命力がほとばしる 炭酸デザイン室のテキスタイル

布を学ぶtextileStudy no.14

ナティフ

生命力あふれる多様な植物が、生地全面を覆い尽くすように細密に描かれた[ナティフ]。
勢いよく伸び広がる草花や木々の葉のモチーフは、どことなくあたたかみのあるユーモラスなタッチで描かれています。

デザインを手がけたのは2014 年に水野智章さん、井野若菜さんご夫妻によって設立された「炭酸デザイン室」。
滋賀の自然豊かな環境にアトリエを構え、「いつもの暮らしにシュワッとした刺激を」をテーマに、身近な自然や日々の暮らしから感じ取るものを大切にしたものづくりに取り組んでおられます。

炭酸デザイン室

生地の名前、ナティフは「自生」の意味。「室内空間に、野山に自生する植物の生命力を取り入れたいという気持ちで、頭の中に浮かんだイメージを一気に書き上げました」と水野さん。

そして今回、フジエテキスタイルとの初のコラボレーションにあたり、炭酸デザイン室の特徴である鮮やかな色彩をあえて封印した白一色のシンプルなデザインに。ベース部分の生地を溶かして絵柄を描きだすバーンナウトプリントの技法を駆使し、布で表現できる細かさの限界に挑んでいます。

「色を消したらどうなるかにはかねがね興味がありましたが、光と影だけでも、自然の力強さや色合いをしっかり表現できたと感じています」。



動く。変幻自在。光と影
二人にとって布の魅力とは?

炭酸デザイン室展 in PARIS (2019)

オリジナルブランドの「TANSAN TEXTILE」をはじめ、企業とのコラボレーションなどテキスタイルを中心に活動を展開するお二人。
布という素材の魅力はどのようなところにあるのでしょうか。

「木や石や金属でできたものは形が固定されていますが、布は“動く”。平面にもなるし立体にもなる。まるで生命体のように柔軟で曖昧なところに、ナマものを扱うような難しさがある反面、虜にもなっています」と水野さん。井野さんは「布はアートにもなり得るし、身近なものにもなる。布自体が最終形態のこともあれば、加工することで他のものにもなる。まさに変幻自在。布は私にとって楽しい表現が自由にできるキャンバスのようなものです」。

そんなお二人が生み出した[ナティフ]は、「光の入る空間に取り入れて室内に起こる変化を楽しみ、布の豊かさを感じてほしい」とお二人。

いきいきとした絵柄の細部までよく見えるように、ひだを寄せずにフラットカーテンとして伸びやかにお使いいただきたい一枚です。光を透過したと
きに現われる木漏れ陽のような光と影のコントラストも、お部屋のなかに楽しい変化をもたらしてくれそうです。

TANSAN TEXTILE



取材協力:炭酸デザイン室 
     水野智章さん 井野若菜さん