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記憶と感情につながるテキスタイル 北欧を練りこみ暮らす、ユーザー宅へインタビュー

布を学ぶtextileStudy no.44

今回は、フジエテキスタイルの生地がどんなお家で使われているのか、ユーザーインタビューをしました。

取材に訪れたのは、海に臨み自然豊かな土地にある、Kさんご夫妻宅。純和風の住宅に北欧を練りこみながらリノベーションして生活されています。

囲炉裏の面影を残したリビングと、北欧を感じるタイルや椅子張りが目を引くキッチンスペースは、過ごす人の目線が揃うように高さレベルが調整されています。
自由さが認められる空間には、ご夫妻が選ばれた器や置物、お子様たちの作品が、互いの居場所をつくり合うかのように並んでいます。

テキスタイルも住宅に自然に溶け込み、リビングのカーテンには粟辻博氏がデザインした[T-イシケリ]が掛けられました。

T-イシケリ

「暮らしをよくするちょっとしたものが好き」とご主人。
「たとえば照明とか、音楽とか。コーヒーやお酒なんかもそういうものに当てはまると思っています。中でもテキスタイルは”楽しいもの”というか、暮らしの中にアートピースを取り入れるような、デザインを暮らしに取り込むようなものだと思っています」

T-イシケリ


カーテンのほかにもアートパネルや掛け軸のように、部屋のあらゆるところにテキスタイルが飾られています。
「特にプリントのテキスタイルは、”暗い室内を楽しく彩る”と思っています。デザインなんだけどプリントは難しくないというか、身近なものに感じます」

”テキスタイル”とKさんご夫妻の出会いはフィンランドでの生活にありました。
奥様がフィンランドに住んでいたことがあり、ご主人も行き来して、その生活文化や人々の暮らしが好きになったそうです。

奥様はこう教えてくれました。
「フィンランドで住んでいた部屋に大きな窓があったんです。夏は青空でピカーンと日差しが強く差し込むんですけど、冬はどんよりとしていて。厳しい冬に向かっていくにつれて鬱々とした感じがありました。それで窓に何かかけようと、真っ赤な生地を買ってみたんです。赤い布を窓に掛けたら、ものすごく気持ちが明るくなって、布から得るパワーを感じました。テキスタイルから気持ちに繋がるものがあるな~と実感したんです」

「フィンランドの人はテキスタイルと密接に関わっていると思います。気に入ったものをずっと使うという文化はもちろんあるのですが、気分や季節によって色々と布を使い分けます。今でも当時部屋にかけていた赤い布を見ると、その時の空気感や思い出が蘇ってきます」

当時の赤い布を見せてくれました


そして今年、3年程使った[T-イシケリ]をかけ替え、新しいテキスタイルをリビングに選ぶことに。
[T-イシケリ]は薄手の生地のため、1枚だと寒さを感じることがあり、秋冬用のカーテンを探していました。

悩んだ末に選ばれたのは、今回も粟辻博氏によるデザインの[オーガスト]。

[オーガスト]HA3510RD

「色々なところの生地を見ました。でもなかなかこれというものに出会えなくて。それで粟辻さんのコレクションを思い出して、また見てみようとカタログを手にとった時、これだ!って思いました。せっかく変えるならイシケリとは全然違う印象のものにしたいと思っていましたし、バッチリだったんです」

キッチンの小窓にものれんを。


[オーガスト]は、粟辻氏の代表作であると同時に、とても強い個性を持ちます。

「初めは、色も強いしどうかなと思いました。でも掛けてみて、この生地が1つの絵みたいに思えてきています。以前、箱根の仙石原の家にステイした時に、大柄のテキスタイルが住空間に合わせて製作されていたことを覚えていて、このカーテンもそんな風にこの部屋に合うものになったかなと思っています」

「このカーテンをかけて、気持ちが晴れやかになりました!」と奥様は、はつらつと感想を教えてくれました。


生活にある一つ一つのものが、家族の感覚を大切に選ばれたKさんご家族の家では、大きくて個性のある粟辻氏のテキスタイルも、自然と他と共存し、生き生きとしていました。

「今回はしばらく住んだ後からカーテンを変えたことで、生活の変化、家族の変化や楽しみを増築させるような出来事になったと思います。北欧の生活にはずっとDIYをしているというか、ある種のクリエイティビティを増築させ続けるような感覚があると思っているのですが、それ通じた掛け替えになったかなと。きっとこのテキスタイルと過ごしたことが、子どもたちにとっても記憶となり、一つの思い出のトリガーになっていくと思います」

きっとこれから先も、暮らしを囲む色々なものを家族で大切に選びながら、思い出とともにKさん宅は変化し続けていくことでしょう。


取材協力・写真提供:K様ご夫妻

執筆:フジエテキスタイル スタッフ


粟辻博氏についての記事は下記より

※掲載の[T-イシケリ]は限定商品で、本年売り切れとなりました。
その他の粟辻博氏によるアーカイブ商品、復刻品はHPやショールームでご覧いただけます。
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