マガジンのカバー画像

布を学ぶtextileStudy

44
布をテーマに、糸や織、デザインの秘話などを伝える読みものコンテンツです。
運営しているクリエイター

#ライフスタイル

瞬間の美を写しとる 墨流しのテキスタイル

布を学ぶtextileStudy no.33和紙からうまれた生地に映し出される流麗なる波模様。 [シュンコク]は、京友禅の伝統技法「墨流し染」でデザインされたテキスタイルです。 墨流し染とは 「墨流し」の起源は平安時代。 川に墨を垂らし、偶発的に生まれる波形や渦模様の変化を楽しんだといわれる貴族文化にさかのぼります。 遊びを起点とした「墨流し」は、やがて詩歌を詠む台紙の装飾として利用されるようになり、意匠性が高められていきました。 その技法が布帛の染色に応用され始めたの

デザイナーが語る、幾何柄にしのばせた遊び心

布を学ぶtextileStudy no.32シャープな幾何柄がモダンでスタイリッシュな[スペクトル]。じっと眺めていると、奥行きのある立方体にも見えてくる“だまし絵”のような不思議な味わいがあります。 デザインを手がけたのは、テキスタイルデザイナーの弘重宣子さん。 フジエテキスタイルとコラボレーションを始めた1990年代から現在まで、魅力あふれる多くの作品を発表してきました。 [スペクトル]のコンセプトは、空間性と3D。 「空間性を感じる立体的な幾何柄デザインを考えてほし

色を取り入れるには?外部環境との調和

布を学ぶtextileStudy no.31東京都内、多摩川のほど近くに立つマンションの一室。 小割にされていた住戸の壁がリノベーションによって取り払われ、南北に風が抜ける開放的な空間へと生まれ変わりました。 新しい部屋で“柔らかな壁”を演出するのは、フジエテキスタイルのコレクション。玄関土間と水回りスペースを仕切るレンガ色の[エマ]、広い開口には[キヌリー](現在廃番 代替品:ヤム)が使われています。 設計は「小坂森中建築」。戸建・集合住宅や、半公共的な施設を手がけてい

ネックレスをカーテンアクセサリーに

布を学ぶtextileStudy no.30 繊細なレース編みのように形作られたカーテンタッセル※。 こちらは刺しゅうの技法を使って作られています。 ※カーテンタッセル:カーテンを束ねる際に使用する帯や房状のもの。 装飾性のあるものも普及している。 一般的に刺しゅうというと土台となる生地に糸を刺しその生地を彩るもので、このような糸だけでできた商品が連想されることは、まずありません。 そんな既成概念をくつがえすものづくりは、とあるファクトリーブランドとの出会いから始まり

ステンドグラスの光をテキスタイルで

布を学ぶtextileStudy no.29繊細な生地に、美しく色づくボタニカルデザインをプリントしたトランスペアレンス「グラスガーデン」。 透明感を帯びたモチーフが、まるでステンドグラスのように空間を 彩ります。 幻想的に色づいた光を表現するには生地の一部を溶かして透過させる技法、バーンナウトプリントを使います。 透過した部分をステンドグラスのような美しいカラーで染めるには通常の5~10倍もの染料が必要です。 薄く繊細な生地を染めるには通常よりも沢山の染料を使用しないと美

エレガントとナチュラル、異なる表情のカラーボイル

布を学ぶtextileStudy no.27今回は同じ透けものでも印象が全く異なる、2種類の生地を紹介します。 1つはヴェールをまとったようなこまかな光沢が優美な[ハウ]。 もう1つは北欧風のコットンライクな素材感が特徴の[キートス]。 どちらも透け感のあるカラーボイルで、ポリエステル100%で出来ています。素材は同じ、タテ糸も同じような細くしなやかな糸を使っているのですが、一方はエレガント、もう一方はナチュラル。 印象が大きく異なるのはなぜなのか?  理由はヨコ糸のセレ

道東の自然とともに歩むレストランとテキスタイル

布を学ぶtextileStudy no.26北海道・中標津の郊外に建つレストラン「フェネトレ」。隣接する森には水源地があり、ヤマメが棲み、クレソンが自生する清らかな沢が流れています。 2020 年3 月に中標津の市街地から移転。「素朴さのなかに豊かさがある道東の自然のなかで、自分なりのやり方で、表現としての料理を提供したい」というシェフ松村聡彦さんの想いを叶えるのにふさわしい環境にあります。 料理は地産の食材を中心としたフレンチスタイルのコース料理。和食にも長く携わっていた

布の力でオフィスに活気を

布を学ぶtextileStudy no.25長崎・出島エリアに2019年3月にオープンした、スタートアップ交流拠点「CO-DEJIMA(コデジマ)」は、地元で新たなビジネスを起業した若い人たち同士が気軽に交流し合えるオープンスタイルのシェアスペース。 セミナーやイベントも頻繁に開催されています。 奥行き約20m、天井の低い古いオフィスビルの2階フロアをリノベーションした空間を、「テキスタイルの力を借りて人が集まりやすい賑わいを創出したい」というクライアントからの要望を受け、

石のようなテキスタイル

布を学ぶtextileStudy no.24布というしなやかな素材で石のような質感を表現したい。 そんなユニークな発想から生まれたテキスタイルが、無地調の遮光ドレーパリー[ライオライト]です。 生産は北陸産地の工場で行っています。北陸は絹織物で栄えた地であり、現在もその流れを汲んで高密度・細番手の繊細な加工を得意とする工場が多い地域。 なかでもフジエの協力工場は、欧米の有名インテリアブランドとも取引があり、そのクオリティの高さは世界が認めるレベルです。 「遮光でこれまでに

コットンのテキスタイルでつくる上質な空間

布を学ぶtextileStudy no.22フジエテキスタイルのコレクションのなかで綿100%のロングセラー商品、[コローレ]。 豊富なカラーバリエーションで長年にわたり定番的な人気を誇るイタリアで生産された生地です。 トレンドや人気色の傾向を考慮して、色の入れ替えを行っています。 直近では、ナチュラルなインテリアになじみ、他のコレクションともコーディネートしやすいカラーとして、グリーン、ライトブルー、ナチュラル、ナチュラルホワイト、イエローグリーンの5色(最下段5色)を新

織りが奏でる色のグラデーション

布を学ぶtextileStudy no.21時を告げる鐘の音が鳴り響き、ゆっくりと消えていくさまを6色の繊細なグラデーションで表現した[トキカネ]。 やわらかな余韻を残しながら靄がかかったように移り変わってゆく色は、プリントではなく、先染めの糸を使用した緻密な織りの設計によって生まれます。 約100センチのレピート(=リピート。生地の柄が何センチ間隔で繰り返されるかの単位として表記しています。)のなかに透明感のある6色の細い糸を、本数を変えながら織り込んでいます。 糸自体

自然の情景を室内に取り込む

布を学ぶtextileStudy no.20流れ落ちる水の風情はそのままに、凍りついた滝の静謐な美しさを表現した[フローズンホール]。 日本の感性から紡ぎ出された繊細なデザインを、イタリアの工場の技術で実現したテキスタイルには、織りや糸の豊かな表情がふんだんに散りばめられています。 凹凸感のある凝った織り組織に、生地裏で糸を断ち切るバックカットの技 法を大胆に取り入れています。 ランダムに透け感をもたせることで、滝の風情を表現。織り込んだ光沢糸の効果も相まって、流れ落ちる

吹き抜けの窓面に透過のグラデーションを。設計:堀部太氏 森山茜さんコラボレーションのテキスタイル

布を学ぶtextileStudy no.19 「プライバシーを確保した明るい空間」をコンセプトに建てられた、札幌にある個人邸のLDK。 吹き抜けの大きな窓は出窓のように跳ね出した形状で、窓に沿って設けた階段を上り下りする際に「外を感じる」造りになっています。 窓辺にかかるのはフジエテキスタイルの[モルン]。スウェーデン語で雲を意味する名前のついたテキスタイルです。 [モルン]はタテ3mのパネルデザインで、トップからボトムにかけて透け感がなくなっていく透過のグラデーションデ

一枚の布に多彩な糸使い

布を学ぶtextileStudy no.18シンプルモダンなヨコストライプのデザインのなかに、個性的な糸を多く織り込んだ贅沢な[カルタ]。 フジエテキスタイルのコレクションSTORY のなかでも、こだわりに満ちた上質感あふれるテキスタイルです。 白のボーダー部分は和紙のような風合いの不織布テープを揺らがせながら織り込んだクラフト感のある層。ライトグレーのボーダー部分は光沢のある糸と黒の混じった糸を織り込んで麻調のナチュラルな風合いに。 強い光沢を放つシルバーのボーダー部分