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布の力でオフィスに活気を

布を学ぶtextileStudy no.25

長崎・出島エリアに2019年3月にオープンした、スタートアップ交流拠点「CO-DEJIMA(コデジマ)」は、地元で新たなビジネスを起業した若い人たち同士が気軽に交流し合えるオープンスタイルのシェアスペース。
セミナーやイベントも頻繁に開催されています。

奥行き約20m、天井の低い古いオフィスビルの2階フロアをリノベーションした空間を、「テキスタイルの力を借りて人が集まりやすい賑わいを創出したい」というクライアントからの要望を受け、「パワーがあるデザインで大胆にイメージを変えたいという思いで臨みました」と語るのは、庄司はるかさん。
CO-DEJIMA のカーテン、スツールの張り地、シートクッションなどのテキスタイルデザインをトータルで手がけました。

庄司はるかさん

南蛮貿易の様子を描いた歴史資料などを参考にし、そこに描かれている西洋の朱色やターコイズをカラーのアイデアソースとして取り入れながら、長
崎という土地特有の混沌としたパワーを盛り込みつつ、軽やかにアレンジされたそうです。

鮮やかなオレンジとブルー、ライトベージュ色のカーテンが、ロープ風のタイバックで船の帆を思わせるかたちにゆったりと真ん中で束ねられているのがまず目を引きます。
マットで厚地のライトベージュ色の生地はフジエテキスタイルの「フェートル」、シルクライクな光沢のあるオレンジとブルーの生地には「ヤム」が使われています。

左からフェートル(ナチュラル色)、ヤム(ネイビー色)、ヤム(39番色)

「色だけでなく手触りや透過性の違いも含めておもしろい組み合わせにしました」と庄司さん。
西陽を遮りながら明るさも保つ、ほどよい状態をキープできるため、カーテンは閉め切らず、真ん中で束ねるこのスタイルを推奨しているそう。

テキスタイルによって、フロア内が施設のコンセプトにふさわしい躍動感溢れる空間に変化しただけでなく、屋外からも窓辺のカラフルなカーテンが見えることで、外部へのサインの効果も果たしています。


テキスタイルが心地いい居場所をつくる

建築家と組んで仕事をすることが多い庄司さん。建築空間にテキスタイルを取り入れることは、単に光を取り込んだり、遮ったり、という役割だけではないと考えているそうです。

「インテリアの中でテキスタイルは家具の側にも空間の側にも属しきらない中間的なものと捉えています。壁とは異なるやわらかな布で空間を仕切ることによって、人が心地良く過ごせる居場所をつくることができる。テキスタイルにはそのような効果があると思います」。

テキスタイルデザインの仕事をするときには、「空間の中でどういうエネルギーの動きをつくろうか、どうエネルギーの誘導ができるかをいつも考えています」。

CO-DEJIMA の場合も、そこに集う若い人たちの活動を後押しし、導けるデザインを考えたそう。
また、テキスタイルだけで完結させるのではなく、空間全体として100 の
完成になるように取り組んでいるそうです。

最近は「もっと自由にテキスタイルを使ってみたい」という気持ちが高まっていると言い、自分自身で縫製をしたり、取り付け方やつり方のバリエーションについても学んでいるとか。

庄司さんが手がける、より自由度の高いテキスタイル使いの空間に出会えるのが楽しみです。


取材協力:庄司はるかさん