マガジンのカバー画像

布を学ぶtextileStudy

44
布をテーマに、糸や織、デザインの秘話などを伝える読みものコンテンツです。
運営しているクリエイター

#布

瞬間の美を写しとる 墨流しのテキスタイル

布を学ぶtextileStudy no.33和紙からうまれた生地に映し出される流麗なる波模様。 [シュンコク]は、京友禅の伝統技法「墨流し染」でデザインされたテキスタイルです。 墨流し染とは 「墨流し」の起源は平安時代。 川に墨を垂らし、偶発的に生まれる波形や渦模様の変化を楽しんだといわれる貴族文化にさかのぼります。 遊びを起点とした「墨流し」は、やがて詩歌を詠む台紙の装飾として利用されるようになり、意匠性が高められていきました。 その技法が布帛の染色に応用され始めたの

ステンドグラスの光をテキスタイルで

布を学ぶtextileStudy no.29繊細な生地に、美しく色づくボタニカルデザインをプリントしたトランスペアレンス「グラスガーデン」。 透明感を帯びたモチーフが、まるでステンドグラスのように空間を 彩ります。 幻想的に色づいた光を表現するには生地の一部を溶かして透過させる技法、バーンナウトプリントを使います。 透過した部分をステンドグラスのような美しいカラーで染めるには通常の5~10倍もの染料が必要です。 薄く繊細な生地を染めるには通常よりも沢山の染料を使用しないと美

特殊加工が叶えたメタリック感と機能

布を学ぶtexitleStudy no.28今回は、カーテン生地にほどこす特殊な加工、スパッタリング加工をご紹介します。この加工によって、外からの視線や熱を遮る機能が加わります。 光の透過が美しいバーンナウトプリント※1の技法で描きだした植物柄の流れるようなラインが特徴のトランスペアレンス[リエール]。 グラフィックアーティスト牧かほりさんとのコラボレート商品です。 ※1 バーンナウトプリントとは、生地の一部を特殊な液体で溶かし、柄などを表現するプリント技法のこと。 華

エレガントとナチュラル、異なる表情のカラーボイル

布を学ぶtextileStudy no.27今回は同じ透けものでも印象が全く異なる、2種類の生地を紹介します。 1つはヴェールをまとったようなこまかな光沢が優美な[ハウ]。 もう1つは北欧風のコットンライクな素材感が特徴の[キートス]。 どちらも透け感のあるカラーボイルで、ポリエステル100%で出来ています。素材は同じ、タテ糸も同じような細くしなやかな糸を使っているのですが、一方はエレガント、もう一方はナチュラル。 印象が大きく異なるのはなぜなのか?  理由はヨコ糸のセレ

布の力でオフィスに活気を

布を学ぶtextileStudy no.25長崎・出島エリアに2019年3月にオープンした、スタートアップ交流拠点「CO-DEJIMA(コデジマ)」は、地元で新たなビジネスを起業した若い人たち同士が気軽に交流し合えるオープンスタイルのシェアスペース。 セミナーやイベントも頻繁に開催されています。 奥行き約20m、天井の低い古いオフィスビルの2階フロアをリノベーションした空間を、「テキスタイルの力を借りて人が集まりやすい賑わいを創出したい」というクライアントからの要望を受け、

石のようなテキスタイル

布を学ぶtextileStudy no.24布というしなやかな素材で石のような質感を表現したい。 そんなユニークな発想から生まれたテキスタイルが、無地調の遮光ドレーパリー[ライオライト]です。 生産は北陸産地の工場で行っています。北陸は絹織物で栄えた地であり、現在もその流れを汲んで高密度・細番手の繊細な加工を得意とする工場が多い地域。 なかでもフジエの協力工場は、欧米の有名インテリアブランドとも取引があり、そのクオリティの高さは世界が認めるレベルです。 「遮光でこれまでに

幻想的なモアレが空間をエレガントに

布を学ぶtextileStudy no.23大ぶりの花モチーフが生地全体を流れるように覆う優美なドレーパリー[フウガ]。 モチーフの花を描いたのは、グラフィックアーティストの牧かほりさん。 植物や人間にフォーカスし、グラフィック作品を中心に映像や空間演出など幅広い分野で、大胆で生命力に溢れる作品を発表されている注目のクリエイターです。 [フウガ]のモチーフは、ユリの女王ともいわれるカサブランカのもつ 上品さとダイナミックさをアレンジしたものとか。 光沢の強いゴールドの糸で織