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顔をうずめたくなるベルベット

布を学ぶtextileStudy no.34

上品なツヤのベルベットに浮かぶ、トラディショナルなヘリンボーン柄。
[カグラ]という名のテキスタイルは、シンプルな意匠ながら、豊かな質感と風合いが上質さを伝える一枚です。

ゴージャスでエレガントな印象をもつベルベットは、毛足の長さにともなう生地の立体感が美観を創出し、艶やかな光沢と色の深み、陰影などを演出できます。

インテリアテキスタイルにおいては、物性面の安定性やメンテンナンスの簡便さからポリエステル製のベルベットが多用されますが、[カグラ]に使われるのはレーヨンとキュプラ。特有のしっとりとした光沢感と柔らかさでワンランク上の輝きとしなやかなドレープ性を実現しています。 

ベルベットのテキスタイルは世の中に沢山存在していますが、こちらの生地珍しさは加工の工程にあります。
工程は以下の通りです。

〔加工工程〕
①    柄が彫り込まれた金属製の型を生地に圧接し、型押しをします。

金属製の型

②    型に押されず起きている毛を刈り取り、柄の輪郭を際立たせます。

③    続いて染色へ。生地に負担をかけない吊染(つりぞめ)という染色方法で、優しく染め上げます。通常の染めは密閉された釜に生地を入れて、高圧をかけて染色しますが、吊染は手染めに近い丁寧な染色方法です。

吊染の釜

④    最後に手作業でランダムに毛並のシワを付けます。


合理性によらない手間ひまをかけた製法でつくられています。
 

緻密な作業によって生まれた繊細な陰影が美しく、光の当たり方や見る角度によって趣が変化する[カグラ]。

手ざわりもとろけるようにやわらかで、その滑らかさは思わず顔をうずめたくなるほどです。
軽やかなテクスチャーは、お部屋のスタイルや季節を問わずに合わせられるのが利点。しなやかな質感が優雅なドレープを生み、ヒダを多くとっても重くならずラグジュアリーな空間を演出できます。

カラーは、ニュートラルな色調の4色展開。日本の住宅で好まれる明るくナチュラルな色目の床材や壁、家具などと相性がよく、エレガントにもフェミニンにも、お好みに合わせて自在にスタイリングできるラインナップです。
シックな雰囲気のなかに、さりげない個性と高級感が香る[カグラ]は、包みこむような安らぎとプレミアムな華やぎを兼ね備えたテキスタイル。とろりとした格別の触り心地は、クッション生地やソファカバーなどにもおすすめです。