上質な麻で心やすらぐ空間をつくる
布を学ぶtextileStudy no.8
宵闇に沈んだ東の空がうっすらと白みはじめ、しだいに色を帯びていく‥。明け方の空の色や凛とした空気感を、のびやかなパネルがらで表現した[ヨアケ]は、上質な麻の原産地として知られるフランス・ノルマンディ産の麻を使用したハーフトランスペアレンス※1です。
※1ハーフトランスペアレンスとは、厚手の生地(ドレーパリ―)と薄手の生地(トランスペアレンス)の間の透け具合の生地を指します。
カーテンの場合、2重にせず1枚がけにしたい方等に好まれる傾向にあります。
繊維が細長く上品な光沢があることが特徴のノルマンディ産の麻を、糸にする前、わたの状態で染め上げた”トップ糸”にしています。
”トップ糸”にすることで、ひと色の中に自然で微妙な濃淡が生まれることから、織り上げることでいっそう奥行きや味わいのある表情に。
色の境目に織り込んだシルバーののラメ糸も、さりげないアクセントなっ
ています。
麻ならではのシャリ感や節のある素朴な風合いと、グラデーション状に移ろいゆく繊細な色が相まって、単色・無地が多い麻素材のカーテンの中では珍しい、意匠性のある麻カーテンとして好評いただいています。
見ても触れてもナチュラルな雰囲気が、お部屋を心地よい癒やしの空間に演出します。開口部の大きな窓辺に使うと、広がりのあるおおらかな柄がいちだんと映え、まさに夜明けの水平線のようなゆったりとした趣きが感じられます。
麻カーテンを仕立てる際の一工夫
麻は、自然志向の方を中心に根強いファンを持つ人気の素材。
一方で、シワや伸び縮みなど扱いが難しいとカーテンでは敬遠される一面もあります。
仕立ての工夫をすると、そういった心配ごとがあまり気にならなくなり、長く愛用いただけるようになるかもしれません。
例えば、湿度の変化やクリーニングによる一定の縮みを考慮します。
フラットカーテンとして使う場合、通常レール幅に対して1.2倍程度の生地を使用するところ、麻は1.5倍に。
1.5倍ヒダや2倍ヒダのカーテンを作る場合、通常はカーテンレールの幅+3〜5%ほどで計算する仕上がり寸法を、
カーテンレール幅+10%程度のゆとりをもたせて仕立てます。
丈についても、天然繊維は裾をブレイクさせるのがおすすめです。
ブレイクとは、カーテンの長さをあえて長く仕立て、床につけるスタイルのことです。ヨーロッパでは多く見られるスタイルで、隙間がなくなるためカーテンによる保温性が高まります。
床までの高さにプラス100mm〜150mmほど長めに仕上げることをおすすめします。
麻に限らず、綿素材などでもできる一工夫です。
天然繊維ならではの風合いや、色味をお楽しみいただければと思います。