箱根の新しい過ごし方 貸切景観とモダンインテリア
布を学ぶtextileStudy no.35
今回は、神奈川・箱根の貸切別荘に使われたテキスタイルをご紹介します。
箱根を代表する観光名所のひとつ、仙石原ススキ草原から徒歩約5分に位置する「NOIE HAKONE SENGOKUHARA」。
MUJI HOTEL、新宿の温泉旅館「由縁」など、さまざまなホテルを設計・運営するUDS株式会社が手がけたバケーションレンタル(貸切別荘)です。
開発コンセプトは「Gift & Style」。1,600平米の広い土地にゆったりと建てられた2棟の邸宅には、自然からのギフトを感じながら思い思いのスタイルで過ごせる空間が広がります。
“ひだまりの家”をテーマとする「SHIRO SUITE」と、“四季の家”がテーマの「OKU SUITE」。いずれも広々とした庭に面し、春は山桜、夏は新緑、秋は紅葉と、四季折々の風景を楽しめます。
「SHIRO SUITEは、ひだまりの中でくつろぐ明るく開放的な空間。リビングダイニングの壁と天井は白い左官仕上げ、床には白いモザイク仕様の大理石を使っています。箱根といえば老舗旅館、和の空間をイメージすることが多いと思いますが、今回は箱根では希少な庭付きの貸し切り別荘。インテリアはモダンなテイストでありながらも、ときに自然とのつながりを感じるようなアイテムをセレクトしました」。そう話すのは、2棟の企画・設計からインテリアデザインまでを担当する伊東さん。リビングダイニングの四隅はR形状に仕上げてあり、その丸みが陽の光をふんわりと受け止めます。
一方の「OKU SUITE」は、庭を中心に設計された落ち着きのある趣が特長。「どの空間からも庭が見える連続性のある設計で、自然とのつながりを創出しています。床には敷き瓦、ランプカバーには和紙を使い、モダンながらも日本らしい奥ゆかしさが感じられるようなインテリアを意識しました。四季の移ろいに身を委ね、ゆっくりと大人の時間をお過ごしいただけます」
2棟とも箱根の湯を源泉かけ流しで楽しめる浴場とセルフロウリュができるフィンランド式サウナを備え、箱根ならではのリラクゼーションタイムを満喫できる点も魅力です。
箱根の豊かな自然、部屋に差し込む光、庭の植生といった自然の恵みを感じながら、リラックスしたひとときを過ごせる「NOIE HAKONE SENGOKUHARA」。
「SHIRO SUITE」のリビングダイニング、「OKU SUITE」のリビングでは、カーテンでフジエテキスタイルの[トキカネ]が使われ、屋外と屋内をやわらかく隔てます。
ランドスケープを引き立てつつ、しっくりと空間に馴染み、閉じているときにも外の空気が感じ取れるテキスタイルを求めていたという伊東さん。「SHIRO SUITEには白ベースのミストブルー色、OKU SUITEには黒ベースのブラック色を選びました。[トキカネ]の魅力は、極細の糸から生まれる透明感と光沢感、そして繊細なグラデーション。光が当たると乱反射するように輝いたり、色の見え方に変化があったりする点は、陽の光を大切にしたSHIRO SUITEのコンセプトにぴったりでした。また、派手すぎず主張しすぎないけれど、さりげなくラグジュリー感も持ち合わせる──そんな奥ゆかしい印象がOKU SUITEのコンセプトとも重なり、結果として同じシリーズから選定することになりました」
日本の美意識=シンプルと、今のエッセンス=モダンを大切にするフジエテキスタイルのものづくりと、NOIEが掲げる「Gift & Style」の想いが[トキカネ]を通じて融合する──そんな出会いだったといえるかもしれません。
テキスタイルを選定するとき、伊東さんはショールームなどへ足を運び、必ず現物を確認するようにしているといいます。
「今回の[トキカネ]もフジエテキスタイル東京ショールームで選定しました。上質なテキスタイルに宿る繊細な質感は、実際に目で見て触れてこそ違いがわかるもの。インテリアイテムそのものが好きなので、無数にある中から選び抜いていく道程も含めて楽しんでいます。物件のテーマ性や環境に合う最適なアイテムを、これからも大切に選んでいきたいですね」
物件:NOIE HAKONE SENGOKUHARA
企画・設計 : UDS株式会社(伊東圭一)
トキカネについては過去のtextileStudyでもご紹介しています。