織りが奏でる色のグラデーション
布を学ぶtextileStudy no.21
時を告げる鐘の音が鳴り響き、ゆっくりと消えていくさまを6色の繊細なグラデーションで表現した[トキカネ]。
やわらかな余韻を残しながら靄がかかったように移り変わってゆく色は、プリントではなく、先染めの糸を使用した緻密な織りの設計によって生まれます。
約100センチのレピート(=リピート。生地の柄が何センチ間隔で繰り返されるかの単位として表記しています。)のなかに透明感のある6色の細い糸を、本数を変えながら織り込んでいます。
糸自体が極めて細いため、彩度の高い色糸を選び、色相環で45度程度の差が生じるようにグラデーションを設計しています。
一見すると太い糸のように見えるところもすべて同じ極細の糸。
色糸の粗密によって、糸を染めてから織る先染織物ならではの、陰影を湛えた美しい色の音階をつくりだしているのです。
透明感のある布が景色を変える
[トキカネ]に使われているのは、髪の毛よりも細い糸。繊細なグラデーションとともに、この細さだからこそ叶う透明感のある美しさも魅力です。
透き通った布を通して見える窓の外の景色や夜景は、うっすらとヴェール
がかかった絵画のようなおもむきに。
間仕切りのように使っても、圧迫感なく空間をやわらかく隔ててくれます。
朝の光をイメージした白ベースのミストブルー色、夕暮れの光をイメージした黒ベースのブラック色の2配色。
一枚のテキスタイルが空間にもたらす美しい変化をお楽しみください。