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課外活動 テキスタイルクラブ #1

2024年3月7日に、フジエテキスタイルの課外活動、テキスタイルクラブの第1回を行いました。
 
テキスタイルクラブとは…
布のたのしみ方、つかい方、そもそも布の役割って?
いろいろな人が境なくテキスタイルに触れて、その可能性を探る活動です。

初回はツバメアーキテクツさんを会場に、プリントをテーマにお話ししました。

主に話を進める人:
庄司はるか(テキスタイルデザイナー。建築家とともにオリジナルのテキスタイルをデザインしている)
室脇崇宏(㈱フジエテキスタイル企画開発部クリエイティブディレクター)
山道拓人(ツバメアーキテクツ主宰、法政大学デザイン工学部建築学科准教授)
 
ゲスト:
岡野愛結美さん(KONTE)/狩野佑真さん(NOU)/木村浩紀さん(HATA WO TATERU) /西川日満里さん(ツバメアーキテクツ)/橋村雄一さん(Studio Hashimura)/藤田雄介さん(Camp Design inc.)/
五十音順
他にもたくさん。ありがとうございました。

開催協力・会場提供:ツバメアーキテクツ一級建築士事務所

テクスチャー×プリントの実験

フジエテキスタイル室脇:今日は色々なテクスチャーの生地をお持ちしました。織りの段階からさまざまな技術を使って、素材にバリエーションを出しています。フリンジ状のものや、両面で色が異なるメッシュ。ボーダー状に透けているところがある生地、ちりめんなど。

庄司:単に白と言っても織りの違いでこれだけ色々な表現ができるというところは、会社だからこそできる強みだと思います。
一方、私は日ごろ建築家さんとカーテンなどをプロジェクトごとに特注で作っています。私のような個人のテキスタイルデザイナーだと、プロジェクトごとに、そのための図案をデザインすることが多いです。

例えば 元々はこういう透明な生地に、図案を描いてプリントして、物件に納める。ときには写真みたいなものを、コラージュして印刷したり。私の場合は、平たい布地にプリントをすることが多くて、見え方によってはだいぶフラットで、グラフィックのような世界観になってしまうことがあります。 

そこで今回は試しに、フジエテキスタイルさんの力を借りて、今日ここに並んでいるようなテクスチャーのある布地に、私の図案をプリントするという実験をしてみました。普段はなかなか多くの生地に試作するのは難しいのですが、今回は「どうなるかわからないけれど、実験的にいろいろな生地にプリントしてみたら、何か新しい効果が生まれるかもしれない」ということで、室脇さんと生地をチョイスして、いろいろつくってきました。

西川さん:じゃあここにあるプリント前の生地は普段フジエさんで売られているものということですね。

室脇:そうですね。社内には私も含め5名ほどのテキスタイルデザイナーがいて、それぞれが生地のデザインを考えるわけですが、今回はその中でも変わった生地を多く選びました。
普段はテクスチャーのある生地にプリントをのせることはあまりしないんですが、庄司さんと話しながら、どんなプリントをするとより効果的なものになるか、という観点で実験してみました。 


実験1 ゆらぎのある生地

庄司:まずはフジエさんの”プリュム”にプリントしたものを見ていただきます。もともと織りでボーダー状に揺らぎがある生地に、黄色と黄緑のグラデーションの図案をプリントしてみました。
横のストライプの織地の上に、縦に伸びるプリントの柄が重なることで、チェックのようにも見えてくる。

木村さん:生地に濃淡があるようにも感じられますね。

庄司:図案自体にもグラデーションを施しているのですが、織り込まれている糸の太さの違いで濃淡も生まれています。

室脇:プリントは素材や、織地が揺らいでるか締まっているかによってのり方が変わります。今回はふわっとした色の出方になりましたね。

庄司:プリントが織地にのると、日ごろ図案として描いている絵の域を超えて、プリント自体も生地のテクスチャーや素材感のようになるので面白いなって思います。

木村さん:生地の上で事件が起きていますね。

庄司:織地のボーダーの中でも揺れている織りのところと、留めた織りのところのピッチがブロック調に分かれているので、それもあってさらに揺らぎのようなものが出ているんです。

山道:グラフィックのリズムと織りのリズムはぴったり合わせているんですか?それによって見え方が変わったりするのかな。

庄司:およそピッチを合わせるようにはしました。

室脇:多少ずれてランダムになったとしても、交じり合って何かが起きたらいいなと思ってつくりました。もともとのグラデーションとも相まって視覚効果は出ているかなと思います。

実験2 メッシュへのプリント

庄司:もうひとつ、プリントによって独特の効果が分かりやすく出たものを紹介します。こちらは”イマ”というリバーシブルのメッシュ地を使いました。

室脇:これはダブルラッセルという立体的に編まれたテキスタイルで、表と裏が違う色に染まるようにポリエステルを使い分けてつくられています。

みなさん:面白いね。

庄司:今着ているニットのカーディガンのこの辺を切り取ってスキャンして図案をつくりました。ニットの編み目をすごく拡大しています。ぽこぽこしたニットの柄をぽこぽこした編み目があるものにのせると、アニマル柄のようにも見えてきて。不思議な感じが面白いかな~と。

木村さん:すごい立体感がありますね。

庄司:近くで見ると焼きムラみたいにも見えるけど、引いて見るとアニマル柄のよう。

庄司:一方で、これは同じ”イマ”に、私のハンカチをスキャンしてプリントしてみました。細かいストライプのピッチが、なるべくこのメッシュのリズムと連動すると良いな、という考えで。
元は優しいリネンのハンカチなのですが、メッシュに乗せることでチェーンのような、硬質な金属っぽくなりました。ドレープがつくと、オフィスなど住宅でない場所に使っても面白いんじゃないかなと思いました。
素材としても、レーザーカットで切りっぱなしでも使えるので、いわゆるほっこりしたカーテンとは違って面白く使えそうだなと。

室脇:ハサミで切ってもほつれません。

山道:これはめちゃくちゃ使えそうですね。

                                                         

実験3 動物を想わせるフリンジ

室脇:次は”ワカクサ”というフリンジ状の生地です。これはタテ糸を二重にしていて、ひとつは毛のフリンジに、もうひとつは地をつくっています。分かりにくいのですが、ヨコ糸を切るのに比べて、タテ糸を切って密度感を出すというのがなかなか難しい。今回はこの毛のある生地に、上からダイレクトにプリントをのせたらどうなるのか試してみました。

庄司:ふさふさのフリンジと鉛筆の線がクロスするイメージで、シャッシャッシャッシャッと色鉛筆で図案を描いてみました。
この鉛筆のタッチは、フリンジのボーターと同じようなピッチで描いてます。

室脇:庄司さんのデザインとフリンジが交わることで新しい見え方になるのではと考えました。想定外だったのは、転写プリントをする時の熱で毛がベタッと寝てしまって、みんなで揉んでほぐしたりすることになったことです(笑)。もっとふわっとなるかと思いましたが、面白い効果は出たと思います。

西川さん:これも垂直と水平で見え方が変わりますね。
カーテンとして使うとプリントとフリンジが格子に見えるんですが、置くとすごくフリンジが生きますね。

庄司:そうですね。クッションなどにしても面白いと思います。

                                                                   

実験4 丹後ちりめんの凹凸を生かす

藤田さん:これは紙っぽいですね。

室脇:はい。テクスチャーが強い”タンゴ”という生地で、丹後ちりめんでできています。一本一本の糸を撚る撚糸の回数とその撚りの方向の設計で凹凸を出しています。

岡野さん:この図案はもともと真っ直ぐではないんですか?

室脇:そうですね。今回はこの凹凸にラップするような揺らぎのある図案を庄司さんが描いてくれて、先染めの織物が生地の上にのるようなイメージでプリントしてみました。

庄司:くしゃくしゃっとした穴の中に図案が入り込むといいなと思ったんですが意外とならなかったです。かなり濃い色をプリントしているので、裏面でも色が透過して使えるかもしれません。

藤田さん:確かに裏を使っても良いかも。

庄司:クッションや、ソファに使っても良さそうです。あとは、伸ばしてみたり、伸びるからこそ角が出る何かに張ったりしても面白そう。

藤田さん:プリントって基本的には表層的なものだけれども、今回は図案によって、別の生地感に変えられている感じがして。表面的な加工をしているけれど、そのものの存在感や本質的な部分が変わっているように思います。


参加者レビュー

橋村さん:すでにあるテクスチャーにプリントするっていうのはあまり考えたことがなくて、動物の模様とか、しまうまなど自然界にあるものを連想しながら聞いていました。建築家は頭が固いから、つい一つの素材をみせたくなってしまうんだけれど、もっと柔らかい発想があってもいいなと思いました。今回みたいに、もとのテクスチャーに対応した模様を描いていくっていうのはいいですね。ただ単にグラフィックではなくて素材をつくっているというか。

庄司:たしかに私の場合、単純に絵が好きというよりも理由があってやっていることが多いような気がします。ありがとうございます。

狩野さん:テキスタイルってカーテンに使うこともあれば、家具やクッション、持ち歩くバッグやペンケースにも使える。使う人や見る人の距離感によって使い方がさまざまなプロダクトなだけに、そこをコントロールするところに腕の見せ所があるんだなと感じました。デザインの力でどう対応していくのか、具体的なシーンを想定しながら進めていくのが面白いんだなと違うジャンルのデザイナーとして思いました。

庄司:どういう織地を空間に使ってみたいというのはありましたか?

狩野さん:空間においては、奥の空間との透け感をコントロールできるという点がテキスタイルならではなんだろうなと思いました。

岡野さん:最初に見た、もとの生地にすでに個性の強さを感じたのですが、それにさらに個性的なパターンを重ねたときに、すごく馴染みが良かったのが結構衝撃的というか。どれも重なったときの揺らぎが自然で、それがとても発見的で。むしろ重なった時が使いやすいというのがとても面白かったです。

庄司:フジエさんのコレクションのお仕事をするときは、無意識に、カーテンを選ぶお客さんを想像してつくっていたと感じるのですが、今回の実験では、自分がどういうことをやりたいかということを考えていて、何かアクションを起こすような色を使えたのが面白かったです。
色や柄も一瞬ドキッとするようなものを空間に置くと、意外といいねとなったりするなと感じます。
なので今言っていただいたことにもドキッとしました!
 

終わりに

第1回テキスタイルクラブのディスカッションをご紹介しました。
この活動はまだ始まったばかり。これからもさまざまな方と話を重ねて行きたいと思います。続編もどうぞ、お楽しみに。



庄司はるか

株式会社ツバメアーキテクツ一級建築士事務所

今回使ったフジエテキスタイルの商品


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