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世界で唯一の織技術が生む 美しいテキスタイル

布を学ぶtextileStudy no.4

今回は[タユタイ]という生地に使われている織技術を紹介します。

[タユタイ]はゆったりとした水の流れや静かな水面のきらめきを、切り揃えた糸で表現したトランスペアレンス(透ける薄手の生地のこと)です。

この生地には、世界的にも稀少で高度な技術が用いられています。

生地の表面で糸をカットし、フリンジ状になった毛先をデザインに取り入れる ”フロントカット” という技法があります。

その中でも、「タテ糸をカットする」ことがとても難しいと言われています。
生地を織るとき、基本的にタテの糸をセッティングしてベースをつくり、そこにヨコの糸を織り込んでいきます。ヨコ糸をカットすることに比べて、基準となるタテの糸をカットするには技が必要になるのです。


カットするタテ糸と地の部分を構成するタテ糸を緻密にコントロールしながら織り進む、きわめて難度の高いこの技を有するのは、世界でも唯一、群馬県桐生産地の工場だけ。

フジエテキスタイルと桐生産地の縁は長く、かつてこの技法でつくった生地が、世界的なファブリック会社の創始者であり「マスター・オブ・テキスタイルデザイン」とも呼ばれるジャック・レナ―・ラーセンの目に留まり、1990 年代にフジエテキスタイルは、ラーセンブランドのパートナーとして世界のマーケットに紹介されました。

ラーセンは、フランク・ロイド・ライトの代表的な建築「落水荘」のインテリアファブリックを手がけたことでも知られ、ルーブル美術館にも作品が収
蔵されているテキスタイルデザイン界の巨匠です。

 


素材の違いを楽しむグレージュトーン

インテリアコーディネートの提案

そんな[タユタイ]をつかったインテリアコーディネートをご紹介します。

ドレ―パリー(厚手の生地・カーテン)には無地の[シオン](右上)をセレクト。光沢感のあるモール糸を織り込み艶やかに起毛しているのが特徴です。

同系色のタイバック[ヴルール](右下)は、編み込みのリボンとフリンジ使いの可憐なデザインが控えめなアクセントになります。

カットやモールのやわらかく優しい素材感を最大限に活かし、全体を人気のグレージュトーンでコーディネートしました。

グレーからベージュへのニュアンスあるニュートラルカラーは、明るい色の木材や白い壁と相性がよく、北欧モダンのインテリアにもよく馴染むナチュラルモダンラグジュアリーなコンビネーションです。