自然の情景を室内に取り込む
布を学ぶtextileStudy no.20
流れ落ちる水の風情はそのままに、凍りついた滝の静謐な美しさを表現した[フローズンホール]。
日本の感性から紡ぎ出された繊細なデザインを、イタリアの工場の技術で実現したテキスタイルには、織りや糸の豊かな表情がふんだんに散りばめられています。
凹凸感のある凝った織り組織に、生地裏で糸を断ち切るバックカットの技
法を大胆に取り入れています。
ランダムに透け感をもたせることで、滝の風情を表現。織り込んだ光沢糸の効果も相まって、流れ落ちる水の動きや輝きまでも感じられるようにデザインしました。
バックカットを施した上部は水流を、ボトムの無地部分は水の溜まりを表しており、そのコントラストがモダンな印象に。
無地部分をボトムにする使い方を標準仕様にしていますが、天地逆使いにして無地部分をトップに持ってくると、裾に向かって降り注ぐような瑞々しい表情が楽しめます。
布を作る仕事/開発のしごとば
凍てついた滝を見たときに、「本来流れていくものが静止する美しさ」を感じたことが[フローズンホール]開発のきっかけとなりました。
日本人は古来、自然の現象や風景に深い情緒や神秘を感じとってきました。
世界のさまざまな言語と比較しても、日本語は水や雨、空、雲など自然を表す言葉が豊富だとも言われます。
凍った滝から風景以上のものを受けとったのも、そうした日本の感性と無縁ではないと思います。
フジエテキスタイルでは、ものづくりの根底に息づく日本の感性を価値と捉え、日本の住まいや空間にフィットする濃やかなデザインを大切にしながら、普段から企画開発に取り組んでいます。