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小林一毅が語る開発秘話 テキスタイルに魅せられて_後編

布を学ぶtextileStudy no.43

今年、フジエテキスタイルと初のコラボレーションを果たした小林一毅さん。長年、グラフィックデザイナーとして平面を中心とするクリエイティブに向き合ってきましたが、その創作の出発点は立体物、ことにテキスタイルにあるといいます。

前編の記事では、そんな彼のライフスタイルや仕事との向き合い方、テキスタイルとの関わりについてインタビューしました。後編では、この春発表した新作についてお話を聞いていきます。


ⓒTomohiro Mazawa

今回、テキスタイル開発に1から携わるのは初めてだという小林さん。フジエテキスタイル開発部と試行錯誤を重ね、それぞれのクリエーションと技術力を掛け合わせて、2種類の生地が完成しました。

小林さんがテキスタイルの生地や技法について情報を得ていくなかで、初めに考案したのが[プレイパ]です。

「生地づくりのテクニックについて伺って考えたのが、この透かし模様。薄手の生地をイメージしました。最初、相当な数のスケッチを描いたのですが、テキスタイルならではのパターンの表現を掴むのが難しかったですね。そこを踏まえて切り紙のアプローチを考えました」

プレイパ FA1852

光の透け方や色の具合など、生地の検証に時間を費やした末にできたのがこちら。光沢感があって、光を感じられる、薄手のものを選びました。「ちょっとプロダクト感がある、という点も重視しました」と開発部の室脇。
色とりどりの切り紙が、光を受けて舞っているようです。

「プレイフルなものになるようにしました。昔、こどもの城の造形スタジオで働いていた時に、子どもたちが切り紙で自由に作った切れ端を貯めておく箱があったのですが、その箱の中の景色がすごく美しかったんです。色とりどりの紙が、いろんな形で、ふわっと並んでいる。あのプレイフルで楽しそうな余韻や、それが布になって動いた時の形を考えながら、グラフィックに落とし込みました」

ⓒTomohiro Mazawa

「今回のようなファブリックにおいては、視覚的に毒がなくて、豊かさがあって、幸福感が得られるのって結構大事だと思っています。僕はそんなイメージのことを『おいしそう』ってたとえたりもするんですけど、パッケージを作る時にも重要な要素だと考えています。今回は、そんなグラフィックとしてのアウトプットになったかなと思います」


今回は、綿麻のテキスタイルにもデザインを提供。

「視覚的に強いものって空間を支配してしまうから、インテリアとして使われるとなると、つくるのに相当勇気が要ります。その塩梅がものすごく難しい領域なんだなということを、いざ自分が手を動かすことになって、すごく実感しています。だからこそミニマルなパターンを繰り返すことで、視覚的な強さを緩和しつつ、新しいアプローチができるんじゃないかなと考えました」

ⓒTomohiro Mazawa
ⓒTomohiro Mazawa

開発過程で描いた図案は、60点以上。「図案の段階ではどんなものになるかわからないので、ゴールを設けず、とにかくいろいろ作ってみました」

そうしてできた膨大な数の図案から、フジエテキスタイル開発部と共に3点にまで選定。「とにかく感覚に頼っていましたね。面白かったのは、ときどき白と黒が反転して見えて、白地のところが優先されて見えたりすること。このテキスタイルを実際に生活に取り入れたときに、ときどきそうして違った見え方になるのは、ある意味飽きないものになっていいんじゃないかなと思いました」


同じ図案を使っていても、色によってその表情はさまざまに変化します。
「いつもは自分が使いやすい、バランスの取れる色を選びがちですが、今回はそうではない色にトライできました。特に薄い色は、紙に印刷する際はコントロールがしにくいので、今回のように、ベージュの生地に色がのるとなるとより難しい。いつもなら怖くてやらない色域でした」

今回は6色をプリント。

「改めて、この微妙な色が出せるというのは、フジエさんと工場の技術の凄さだなと感じました」

今回の開発を通じて、テキスタイルのなかでもインテリア領域に携わったからこそ見えてきた景色があったといいます。

「1つのエレメントを反復したときに、どういう視覚効果が生まれるか検証できるというのは、テキスタイルのなかでも特に面積が大きく、風や光を受けて動くカーテンじゃないとできなかったことだと思っています」

一方で、今回のテキスタイルはミニマルな造形でクッションや布団カバー、ひいては羽織もののようなファッションアイテムなど、活用の可能性も秘めていると話す小林さんと開発部の室脇。

今後も小林さんとテキスタイルを通じた実験や検証を続けて、学びを重ねていけることを楽しみにしています。

今回のコレクションをぜひ手に取ってみてください。


取材協力:小林一毅さん

STORY vol.05


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