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かわいいテキスタイルとは?ー不織布リボンと後染め技法ー

布を学ぶtextileStudy no.9

ポーラアイス

コットンのようなナチュラルな風合いのベースクロスに、透け感のある不織布リボンをあしらったキュートな表情の[ポーラーアイス]。
フジエテキスタイルの数ある生地のなかでも「かわいい!」と人気の一枚です。

刺繍ステッチで縫いとめた細いリボンが清楚で可憐なかたちをつくります。花のようにも、星のようにも、雪の結晶のようにも見えるモチーフです。

リボンは、不織布でできていて、折り紙のように折りたたみながら上から縫い糸でたたいて止めていきます。コード刺繡という特殊な刺繡技法です。
モチーフ部分の立体感や柔らかな不織布ならではの均一でないかたちに、手仕事のようなあたたかみが生まれ、グランドのやさしい色合いや質感と相まって、心をくすぐられる愛らしさをもったテキスタイルが出来上がりました。



ポーラアイス
カーテン(ナチュラル色)ベッドスロー(ライトブルー色)

フェミニンな雰囲気を纏いながらも、甘くなりすぎないすっきりとしたデザインは、あえて写真のようなコンクリート壁の無機質な空間に取り入れても新鮮です。

おそろいのベッドスローとコーディネートすれば、クールな空間が一転、やさしい空気感に彩られるよう。
不織布リボンを使った繊細な意匠ですが、防炎、ウォッシャブルなど実用性も備えています。


“パウダリー”のヒミツはタテ糸に

モチーフを受けとめるグランドにも、実はこまやかな工夫を凝らしています。
かわいさを醸しだす秘密は、生地のタテ糸のマット感にもあったのです。

生地に近寄ってみると、ヨコ糸には濃いブルーが見えてきます。

織り方としては、ごくシンプルな平織ですが、後染めの技法を用いて、タテ糸を白、ヨコ糸をブルーに染め分けています。

タテ糸に使われるマットな白い糸には非常に透けにくい特性があります。
そのため染め上がった際に、白糸の下に織り込まれたブルーは表面からまったく透けて見えなくなり、唯一、細かい織り目の間から少しブルーが覗いて見える仕上がりになりました。

それにより、全体としては白糸の存在感が強調されて見え、まるで白い粉砂糖がふわりとかかり青を覆い隠すようなパウダリーな質感を生み出します。

シンプルな意匠の中にもどことなく愛らしさや優しさが感じられ、
それが「かわいい!」と言われる理由だったのかもしれません。