20世紀初頭の建築意匠を取り入れた テキスタイル
布を学ぶtextileStudy no.3
ラグジュアリーなベルベットと、軽やかなオーガンジー(薄手の平織りの生地のこと)。
2つの魅力を併せもつ滑らかな手ざわりの[タゴト]というテキスタイルをご紹介します。
生地を部分的に溶かす、バーンナウトプリントというテクニックで、ブロックモチーフの輪郭を作り出し、透け感をもたせています。
また、ベルベットの毛の向きをランダムに仕上げる特殊加工により、繊細な毛の濃淡が独特のニュアンスを生んでいます。
タゴトとタリアセン
[タゴト]のモザイク風の幾何パターンは、20世紀初頭の鉄製の門扉の建築意匠からインスパイアされたデザイン。同時代の建築家フランク・ロイド・ライトの照明スタンド[タリアセン]の存在感のあるフォルムともさりげなく調和し、間接照明のやわらかな光がベルベットやタフタの色の深みを際立たせます。
20世紀を代表する建築家 フランク・ロイド・ライトが、米国ウィスコンシン州の広大な敷地に自邸や設計事務所、学校などを建てて暮らした理想郷「タリアセン」。建物は自然に溶け込むプレーリースタイル(草原様式)と呼ばれる水平の設計によって建てられています。
同じ名を冠した照明器具は1933年にタリアセンの劇場のペンダントライトとして設計されたもので、その後いくつもの型違いをつくったほどライト地震のお気に入りでした。
照明[タリアセン]には、ライトの建築思想がコンパクトに凝縮されています。
複数の木製ブロックと可動式の遮光板をバランスよく連ねたツリーのような形状で、支柱部分にはライトが好んだチェロキーレッドの正方形がアクセントに挟まれています。
インテリアテキスタイルをデザインする、提案する、お部屋に取り入れる上で、どういった時代のスタイルのものに関係しているのか考えてみると、新しい発見があるかもしれません。
取材協力:株式会社YAMAGIWA